内容紹介
本書は,明治期に描かれた名所図録図会をテキストに,今日まで存在している141の神社を丹念に調べてその神社空間の景観構造を把握したもので,名所づくりによって都市活性化を考えている地方自治体の担当者には,貴重な情報をあたえるものとなっている。
名所とされたほとんどの神社周辺には,自治体によって指定されている「保存樹」を中心に鎮守の森が今日まで残されており,神社を訪れる方々にとって視点場としてあるいは視対象として,活用されていることを指摘している。
また,神社という古い素材に最新のコンピュータの技術を駆使して神社周辺の地形を3次元CGで立体的に再現し,当時の名所空間のマクロ的空間と景観の型を浮き彫りにしており,都市計画専門家はもちろん,図会に少なからず関心を持つ一般の方々にとっても楽しめるだろう。
目次
第1章 序
名所と地形/何故名所を調べるか/調査の目的/調査の素材/
社格からみた名所神社/神社の保全状況/本書の構成
第2章 名所神社の立地特性
地形図と現地調査から読み取る指標/名所の立地場所と周辺地
形の概要/名所神社の立地を規定する要因/名所空間の類型化
のための前処理/神社の立地類型の特徴/各類型の地理的分布
第3章 名所神社の眺望特性
現地調査による眺望方位・方位角の把握/可視領域図の作成/
3次元CGによる眺望のタイプ/眺望のタイプと立地類型との関
連
第4章 景観と地形に絞って由緒・縁起を読む
図録図会中に書き込まれた由緒/他の文献に記載された神社の
立地特性
第5章 神社の境内の特性
読み取るデータ/境内の描写の全体的概要/図会に描かれた境
内を特徴づける要因/境内の類型/境内は,由緒・縁起にどの
ように記載されたか/立地類型との関連/社殿について
第6章 名所の景観構造と名所の要因
神社のマクロ的景観構造/境内と社殿からみた名所/名所の活
用/神社の外部空間のデザイン/現地調査にみる境内空間の特
徴
第7章 既往の地形類型との比較
地形と景観/人文的地形研究の視点/2つの人文的地形・空間
タイプ/地形の分類/福岡での実例の当てはめ/盆地,谷,平
地と山の辺の景観