内容紹介
『諸宗教の倫理学―その教理と実生活』シリーズは,テーマ別に世界の偉大な諸宗教を比較するものである。第1巻「性の倫理」,第3巻「健康の倫理」,第5巻「環境の倫理」,第4巻「所有と貧困の倫理」と刊行してきた本シリーズは,本書,第2巻「労働の倫理」で完結となる。
ベネディクト派の「祈りと労働」は,おそらく,西洋のキリスト教圏で,労働がどんなに重要な役割を演じてきたか,そして演じているかを,最も明瞭に告げ知らせている。イスラム教,仏教,ヒンドゥー教,そして儒教は人間の労働をどのように評価しているのだろうか。宗教的に動機づけられた労働のエートスは現代産業社会という条件のもとでも維持されるのだろうか。宗教は今日の労働問題や失業問題に役立つのであろうか。
目次
一 ユダヤ教 ヨハネス・ヴァッハテン
一・〇 概 観
一・一 ユダヤの宗教における労働
1 労働観にとって基礎となる一般的観念
2 歴史の経過における労働理解
3 聖書とタルムードの時代
4 中 世
5 近 代
一・二 資 料
1 職業倫理
2 労働による救済
二 カトリシズム フリードリッヒ・トゥルツァスカリク
二・〇 概 観
二・一 カトリシズムにおける労働
1 宗教的に核心となる証言における労働観念
2 時代の経過における観念の変遷と
変化する労働諸関係の観念の変遷
二・二 資 料
1(a) 人間にとって恵みとしての労働
1(b) 労働は資本に優先する
2 教会と失業問題
三 プロテスタンティズム ロルフ・クラーマー
三・〇 概 観
三・一 プロテスタンティズムにおける労働
1 聖書の労働観念
2 労働観念の展開
3 プロテスタントの社会倫理における労働
三・二 資 料
1 失業に対する教会の課題と可能性
2 教会と労働界
四 イスラム教 モニカ・トゥヴォルシュカ
四・〇 概 観
四・一 イスラム教における労働
1 一般的に
2 コーランにおける行為と労働
3 歴史の経過の中での労働理解
四・二 資 料
1 労働の意義についてのシリアの教科書
2 著者とオーストリアのムスリム教区の指導者,スマイル・バリッチ
博士との文書によるインタビュー
五 ヒンドゥー教 アルフォンス・ヴァン・ディユク
五・〇 概 観
五・一 ヒンドゥー教における労働
序
1 理想的な世界のモデルと実際の世界の評価
2 伝統的なヒンドゥー教徒の正統的実践における生活秩序
3 バガヴァッドギーターにおけるカルマ[行為]ヨーガ
4 カルマヨーガについての新しいヒンドゥー教のさらなる解釈
5 村のインド
五・二 資 料
1 ガンディーの後継者,ヴィノバ・バーヴェーによる
カルマ・ヨーガの新ヒンドゥー教的解釈
2 経済的発展の障害としてのヒンドゥー教
六 仏 教 ペーター・ゲーリッツ
六・〇 概 観
六・一 仏教における労働
1 労働は否定的に評価される?
2 労働は八正道の一部であり有用性の原理から離れている
3 たとえ話における説話
4 現代仏教では労働を肯定的に評価する
5 未来の展望
六・二 資 料
1 人間の内面的成長に対する労働の関係
2 雇用者と労働者の関係
七 儒 教 モニカ・ユーベルヘーァ
七・〇 概 観
七・一 儒教における労働
七・二 資 料
世界のための学習としての労働:シンガポールの実例
八 宗教的伝統における労働――根本問題
ミヒャエル・クレッカー/ウド・トゥヴォルシュカ
1 労働観念に対する伝統の影響の多様さ
2 宗教の中心命題における労働の評価
3 宗教的な労働倫理の変化と影響力
4 近代産業社会との関係