内容紹介
本書はニーチェ『ツァラトゥストラ』を「形象が織りなす一つの物語」として捉え,「道化師ツァラトゥストラの黙示録」という新しいツァラトゥストラ像を提示する。「新たな永遠性の道化師」と「ディオニュソスと同一視されたイエス(『ヨハネの黙示録』のイエス)」は,狂気でさえ消し去ることのできないほどニーチェの実存を支配していた。この実存の深みから「道化師ツァラトゥストラの黙示録」は構想された。本書を特徴づけるのは,「ニーチェの遺稿・草稿・書簡も踏まえたテキストの正確な解読」,「大胆なテーゼの提示による哲学的かつ文学的アプローチ」,そして「ナウマンからヤスパース,ハイデガー,ドゥルーズに至る解釈との対決」である。
目次
序章 道化師ツァラトゥストラの黙示録
一 形象が織りなす一つの物語
二 永遠回帰の思想の襲来
三 ツァラトゥストラの物語
四 ツァラトゥストラという名の由来と意味
五 悲劇を超えて笑う高み
六 Incipit parodia
第一章 道化師ツァラトゥストラ
第一節 綱渡り師を跳び越える道化師
一 ツァラトゥストラの敵対者としての道化師?
二 道化師=超人としてのツァラトゥストラ
三 人間は深淵にかけられた一本の綱である
四 道化と死体の中間
五 道化師 ─ 墓掘人 ─ 隠者
六 新しい真理
七 運命と笑い
第二節 三つの変容
一 最も重いものを求める駱駝
二 駱駝から獅子へ 誠実さからの道徳の自己克服
三 最も孤独な砂漠
四 獅子が戦う竜と重さの霊
五 ツァラトゥストラの変容(駱駝から獅子へ、獅子から子供へ)
六 子供の世界
七 子供と超人
第三節 ツァラトゥストラの動物たち
一 導き手としての鷲と蛇
二 勇気は最高の殺害者である
三 鷲の勇気
四 黒い重い蛇
五 成熟の徴としての獅子と鳩
六 ツァラトゥストラの二つの課題
七 我欲す
第二章 永遠回帰
第四節 深淵から光の深淵へ
一 山頂と深淵が一つになる
二 小人との対決
三 牧人をかむ黒い重い蛇
四 牧人の笑い
五 光の深淵
第五節 永遠回帰の世界
一 動物たちは何も知らない?
二 悲劇としての『ツァラトゥストラ』?
三 すべての物はそれ自身舞踏する
四 動物たちの優位
五 歌え、もはや語るな
六 神のまわりですべてが世界となる
第六節 永遠性
一 二つの実存可能性
二 永遠性は瞬間のうちにある
三 永遠回帰と力への意志
四 すべての快は永遠性を欲する
五 永続性と永遠性
六 深い真夜中が語る
七 露がおりる
八 真夜中は正午である
第三章 黙示録
第七節 大いなる正午
一 ツァラトゥストラの没落は始まった
二 ツァラトゥストラの没落は終わる
三 大いなる正午を祝う
四 大いなる正午と大いなる日
五 三部構成と四部構成
第八節 三部構成としての『ツァラトゥストラ』
一 第三部と『ヨハネの黙示録』
二 第二の舞踏の歌
三 七つの封印
四 七つの封印を開ける者としての獅子
第九節 四部構成としての『ツァラトゥストラ』
一 第四部と『ヨハネの黙示録』
二 酔歌
三 イエス=ディオニュソスとしてのツァラトゥストラの黙示録
四 鳩の群れを伴った笑う獅子
五 暗い山から来る朝の太陽のように
あとがき
人名索引
『ツァラトゥストラ』章名索引