内容紹介
レウヴェン大学E.アールツ教授による連続講演会の邦訳集。中世初期から後期にかけてヨーロッパのビールとワインの嗜好変化をたどり,ホップビールの流行とワイン消費の減退,セルヴォワーズ(エール)の遍在を検証することで,飲料の価格動向の重要性を示す。次に,資本主義揺籃の地ブリュッヘとアントウェルペンに焦点を当て,ヨーロッパ金融市場の変遷を説く。前者はイタリアの為替技術を伝承しそれを西欧全域に伝播する役割を果たしたが,そこから重心移動した後者の金融市場では手形の裏書など新技術を切り開いたことを強調する。さらに,神聖ローマ皇帝カール5世期に最盛期を迎えたネーデルラント社会経済の光と陰を描写する。国際市場アントウェルペンを核として,あらゆる経済的側面で成長を見せるものの,そこには見逃すことのできない経済社会的格差が生じていた。
目次
第1章 中世ヨーロッパにおけるワインとビールの消費について
選ぶのはワインかビールか/大衆飲料としてのセルヴォワーズ
ビール/中世の発明品:ビール/ますます高級品となるワイン
/ワインにビールが取って代わる
第2章 中世後期 近世初期ヨーロッパにおける為替取引
ヨーロッパにおける経済的前史/陸路交易の衰退とブリュッヘ
の隆盛/為替の起源/為替業務について/ブリュッヘの終焉/
アントウェルペン商業の勃興/金融市場の成長/商業・金融施
設の建築/アントウェルペンの影響とイタリアの遺産
第3章 カール5世期南ネーデルラントの経済と社会
指標としての人口成長/農業生産力の増大/農村工業と都市工
業/アントウェルペンが支配する交易/購買力/経済・社会的
不均等/伝統と革新